個々の患者さんの症状を正確に診断する為には、口腔内をじっくり・しっかりと観察し、把握する事が大切です。勿論、診るだけではなく、触診も行い、歯肉の弾力性など細かく診ていく事が大切と考えています。
また、口腔内写真やX線写真も見る事で「変化に気付く目」を養う事も重要と思います。変化に気付くからこそ、大きなトラブルを回避する事ができ、患者さんとの信頼関係も構築することができるのだと考えます。
ブラッシング指導を開始する患者さんへの歯ブラシ選択で最初に行っているこ事は、「患者さんが今、自宅や職場でどのような歯ブラシを使用しているか」を把握する事です。使用中の歯ブラシを一度見せていただくことで、どれくらいの期間使っているかやヘッドの大きさ、ネックの長さ、毛の種類、毛先の形状や広がり方など、多くの情報を得ることができ、これから行うブラッシング指導の参考になります。
また、良いと思って紹介した歯ブラシでも、患者さんが長年使用した歯ブラシとあまりにも形状がかけ離れたものであれば、違和感を覚える患者様もいます。ブラッシングは患者様の生活の一部ですから、違和感ではなく「スッキリ」や「気持ち良い」と云う感覚を持って頂きたいところです。
例えば、様々な口腔内状態に適応する先端極細毛のL社製歯ブラシは、紹介するとリピートして購入いただく事が多く、比較的誰にでもお薦めできる歯ブラシであると感じています。
その中でもMタイプとHタイプをプラーク付着や歯肉の状態により、適宜選択しています。また、毛先がしっかりしたものや親知らずまでとどくネックが長いタイプ、歯列不整や嘔吐反射にお困りの方には、ヘッドが小さく設計せれたタイプをご紹介しています。
いずれの歯ブラシを選ぶにせよ、まずは実際に使用していただき、使用感を確認した「使ってみたい」と患者さんが思う歯ブラシを一緒に考え、選ぶことが大切と考えています。
そした、次の診療時に、必ずその後の使用感をお聞きして、そのまま使い続けるにか、他の歯ブラシに変更するのか、また状況変化に伴って歯ブラシを変更する必要があるか等、常に考えて判断していく事がブラッシング指導には不可欠な事であると考えています。